トルコリラ急落の原因 「米・トルコ 互いにビザ発給停止」の影響と今後の見通し

トルコリラ急落の原因「米・トルコ 互いにビザ発給停止」の影響と見通し

夜明けの激震!トルコリラの急落!!(2017年10月9日)

 

寝耳に水、とはまさにこの事

 

2017年10月9日、日本では体育の日の祝日で、株式市場は休場。

 

一応、FX市場は週明けのオープンを迎えますが、クローズ直前の9月分米・雇用統計が7年ぶりのマイナスに転じた(失業率は4.2%へ低下)ものの、これはハリケーン被害の影響によるもので、あくまで一時的なものに過ぎないとの観測から、その後の市場への影響は少なく、また翌日(10日)に日本の衆議院選挙の公示が行われますが、これも出来レース的な面がおおきく、それほどの材料になるとは思われていませんでした。

 

実際、ドル円相場は10月9日、市場オープン直後に112円中盤から、112円前半に円高が進みましたが、米雇用統計で113円台中盤から112円台後半へ進行していたことから考えると、想定の範囲内の動きだったといえるでしょう。

 

他のクロス円ペアも軒並み連れて円高傾向でしたが、唯一トルコリラが大きな「窓開き」と長い「下ヒゲ」を伴う極端な陰線を描きました。

 

 

スタートが30円台中ほどでしたが。その後一時間程度で28円台前半まで円高に触れ(窓開き直後の1時間足)その後も10pips以上のスプレッドを伴った乱高下を数時間ほど繰り返し、トルコリラトレーダーは早朝から一分一秒たりとも市場から目を離せない時間が続きました。

 

祝日ということで、相場チェックだけして、場外馬券場に出かけようとしていた私も同様で、モニターを注視しつつ、別画面とスマホで情報収集と相場分析。さらに別PCでリスクヘッジの建て玉処理をマルチタスクで行わざるを得なくなりました。

 

もう京都大賞典とか、サウンズオブアースとか構ってるヒマありません(泣)

 

トルコリラに一体何が起こった(起こっている)のか?

原因として、米ドル/円相場がそれほど動いてないのですから、トルコリラ/米ドル相場に何らかの異変があった(ドル高が進んだ)と考えざるを得ません。

 

なにはともあれ、同時間帯のトルコリラ/米ドルのチャートを調べる必要があります。

 

 

思ったとおりです。

 

同時間帯に一気にトルコリラが売られ、米ドルに一気に買いが入っています。

 

それ以前の軟調な動きから見ると、あまりにテクニカルの範疇を外れていますので、これはファンダメンタル要素になにか事件があったと考えるのが妥当です。

 

最近のトルコ関係のニュースで国境を越えた地政学的材料といえば・・・、
・・・、
・・・、
・・・思い当たるものがありません。

 

なにかあるだろう、と更にネットを検索していくと、日本時間9日未明に

 

「米・トルコ。互いにビザ発給停止に」

 

というニュースが。

 

詳細はリンク先記事を読んでいただくとして、要点としては

 

・在トルコ米大使館はトルコでの「非移民ビザ」発給業務を無期限停止。
・4日に在イスタンブール米総領事館のトルコ人職員逮捕への対抗措置とみられる。
※「最近の出来事」でのトルコ側の「責任」を「再評価」する、と明言は自重している。
・トルコ側も在米トルコ大使館がアメリカでの全てのビザ発給を停止。

 

ということで、観光・医療・商用・留学・就労など、短期での渡航が両国間で当面一切出来なくなる事態となりました。

 

ていうか、全部じゃねーか!と。

 

これは、国家間の緊張が強まった、とかいうレベルじゃなく「アメリカ−トルコ間の渡航禁止」ということで、今年始めにトランプ大統領が「イスラム圏住民の入国禁止」大統領令を出して問題になりましたが、そのレベルのことが列記とした「国家令」として発令されたということです。

 

なぜこんなことになったのか?米VSトルコ

今年の5月16日にはエルドアン大統領が訪米し、ホワイトハウスでトランプ大統領と会談。

 

両国間の緊張緩和に取り組むことで一致した共同宣言をしており、これより前にも、トランプ氏はエルドアン大統領の国民投票での勝利を真っ先に「祝福」しており、エルドアン氏もトランプ氏の大統領当選を「伝説的な勝利」と持ち上げるなど、両氏ともアクの強い「似たもの同士(?)」として、ウマのあう様子を見せていただけに、今回のような「国交断絶一歩手前」的な強権を突然発動させたことに、相場がパニックになった・・・というのが今回のリラ暴落の原因のようです。

 

そもそもの発端である「米総領事館のトルコ人職員をトルコが逮捕」した理由は、昨年7月の軍事クーデター(未遂)を企図、煽動した。

 

としてエルドアン政権が亡命先のアメリカに身柄引き渡しを求めているギュレン師(フェトフェッラー・ギュレン:トルコ人学者)の関係者と接触した疑惑があるため・・・だそうですが、そもそもギュレン師はクーデターへの関係を否定しており、その具体的証拠も無いのです。(トルコ政府側からも証拠の提示は無いようです)

 

ですから、アメリカ側も政治的迫害を理由に亡命してきている人物を、犯罪行為に関与したという確たる証拠も無いのに身柄引き渡しに応じられるワケがありません。

 

今後はどういう経過をたどるのか?(予測)見通しについて

エルドアン−トランプ両大統領の会談があったのは今年5月ですが、実は6月以降、トルコはロシアへ急接近を始めており、どうも、IS(イスラム国)掃討戦が一定の成果を収めつつある現状を見据えて、今後の中東情勢で優位を築きたいエルドアン政権が、トランプ政権などの欧米勢力とある程度距離を置き始めた様子があるようなのです。

 

前項での理由のとおり、法治国家であるアメリカが、いくら同盟国とはいえ、トルコからのギュレン師引渡しにYESという可能性はほぼ0ですし、それが分からないエルドアン政権ではありません。

 

では、どうしてこの時期に無謀ともいえる強行策に出たのか?

 

これを理解するために、本日早朝に行われたもうひとつの発表がカギになります。

 

それは「サンダース米報道官は、トランプ大統領が対イラン戦略をまとめるにあたり”イランによる悪い振る舞い全てを考察する”と述べ、欧米各国との核合意の順守だけでなく、弾道ミサイル実験やテロ支援も考慮に入れて判断する」というものです。

 

イランの行動(核保有)に対し、エルドアン大統領は数年前(首相時代)にイランの核エネルギー(平和利用、発電など?)を支持・容認する発言をしており、それを批判する核保有国に「人に持つなというなら、まず自分が放棄して手本をみせろ」というように噛み付いたことがあります。

 

その先には「自国も核保有を」という思惑があるのでしょうし「アジア−ヨーロッパの架け橋」を自認する”歴史的重要国”としてのプライドもあるのでしょう。

 

ですから、今回のイランに対するアメリカの行動にも、何らかの反応を示すであろうと考えられます。

 

更に続く発表で、アメリカ国防省はサウジアラビアに「高高度ミサイル迎撃システム(THAAD)」の販売を承認すると発表。

 

これもイランへのけん制のためだと思われますが、こういったことが重なってアメリカの近隣への介入に不信感と危機感を抱いたトルコがガードを固めてしまったのでしょう。

 

このように日本時間10月9日朝は、トルコリラの相場だけでなく、よくよく見ると中東情勢が大きくゆれた時間帯でもあったのです。

 

午後から夕方の時間帯になって、市場は小康状態になっていますが、こういった根本的な問題が何も解決していない状況から、市場の動揺は今後しばらく続くと考えたほうがいいでしょう。

 

特にアメリカの中東情勢への介入発言には注意が必要です。

 

今回の結論

とはいえ、以上は全て中東地域限定の地政学的リスクで、これが多方面に飛び火するかといえば、その可能性は低いでしょう。

 

実際、トルコリラ相場以外はいつもの祝日相場らしく平静そのもので、トルコリラに厚めに投資していなければ、私だって今ごろはウィンズ近くの酒場で反省会をしていたはずです(予想、ハズれてました)

 

明日からのストラテジは、トルコリラに投資している場合は、先ほど述べたように、中東情勢へのアメリカからの発言と、トルコ−アメリカ間のビザ停止の経過に注意して、状況が進展しない、悪化するようなら、リラ/円の長期的テクニカルから見た安値である25円を見据えて、ロスカットやレートの下げを考えるべきですが、その他のペアは、今までどおりの流れで投資しても問題ないでしょう。

 

 

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